生活保護申請中でお金がないなら臨時特例つなぎ資金貸付などの制度をチェック

生活保護申請中でお金がないなら臨時特例つなぎ資金貸付などの制度をチェック

臨時特例つなぎ資金貸付などの制度

生活保護申請中の資金繰り。臨時特例つなぎ資金貸付などの制度について

生活保護制度による生活保護受給者数は、平成29年2月現在、約214万人(世帯数で約164万世帯)で平成27年3月をピークに減少傾向にあるものの、65歳以降の高齢者世帯は、むしろ増加し、全体の45.5%を占めています。

65歳以上の高齢者世帯では、公的年金を受給するだけでは生活ができない実態が浮き彫りになりますが、54.5%を占めるその他の勤労世代でも、働き手の離職あるいは病気やケガでの収入減で生活保護を受けざるを得ない状況があります。

行政は、ケースワーカーが中心となり、生活保護受給者に対して就労や自立のサポート、インセンティブの強化などに重点的に取り組んでいる場所ですが、このように生活保護が開始されてからの支援とは別に、生活保護の申請から扶助金を受け取るまでは、どのような支援がされているのでしょうか。

今回は、生活保護制度への申請中に当面の生活費がない状況で頼ることができる支援制度についてご紹介します。

生活保護の申請をしたけど…お金はいつもらえるの?

お金はいつもらえるの

生活保護の申請といっても、手順を追っての手続きがあります。生活保護により実際に扶助金を手にするまでにどのような手順が必要かを見ていきましょう。

ケースワーカーとの面接

ケースワーカーとの面接

生活がどうしても成り立たない状況になったときに国の支援を頼るなら、生活保護制度による生活保護の申請という選択肢にたどりつくことでしょう。

ただし、申請する前に現在の経済状況で生活保護の対象になるのかは自己判断ができないため、まずは、住居地の福祉事務所(※1)を訪ね、ケースワーカーに相談することから始めます。

ここでケースワーカーは、現在の就業状況、財産の有無、財産の価値、生活保護から抜け出すための就業への意欲などを口頭で確認し、生活保護が受けられそうか、一定の判断をしてくれます。相談にあたって、あらかじめ現在の状況をメモして持参した方が良いでしょう。面接の結果が厳しいものであったとしても、申請そのものを福祉事務所が拒否することはできないため、生活保護申請書を受け取って申請をしてみましょう。

(※1)住居地の福祉事務所:住居がないなど住所が定まらない場合は、今いる場所を管轄する福祉事務所でかまいません。

申請後の調査

申請後の調査

受け取った生活保護申請書に必要事項を書き、その他の必要書類とともに同じ窓口に申請をします。その後、申請に従って細かな調査が始まります。

調査は、福祉事務所での面談のこともあれば、ケースワーカーが申請者の居場所を訪れることもあります。この段階では、福祉事務所が持つ調査権限を使って、預金残高を金融機関に照会するなど、口頭での回答の正確性もチェックされます。

また同時に、申請者の調査だけではなく、申請者の三親等以内の親族に扶養照会が入ります。これは、申請者が生活保護を望んでいるけれども、国が支援する前に親族による支援はできないのかということを直接親族に確認するためです。扶養照会では、親族からの扶養可否の返事を待つ関係上、その間は調査結果が保留されます。

ただし、生活保護法第24条で、そのような場合でも調査結果は30日以内に出さなければならないと規定されています。

結果の通知

結果の通知

申請が通れば、保護決定通知書が送付されてきます。保護決定通知書には、生活保護開始の時期と生活保護での扶助の金額が書かれています。

申請からここまで、最長で30日以内、早ければ14日以内は時間が必要です。なお、保護が受けられない場合はその理由が知らされます。

生活保護申請中にお金を借りられる「臨時特例つなぎ資金貸付」とは?

臨時特例つなぎ資金貸付

生活保護やその他の公的扶助・貸し付けである失業等給付(※2)、住居確保給付金(※3)、総合支援資金貸付(※4)の申請を行ったとき、その申請が通って実際にお金を手にするまでに、日数がかかります。

生活保護申請の場合、先に示した通り30日以内(最短で14日以内)です。離職をして寮や社宅を出なければならない状況や、住宅は確保できているものの家賃を払えなくなった状況に対して資金が早急に必要な場合、「臨時特例つなぎ資金貸付」を利用することができます

(※2)失業等給付:離職の日以前2年間に雇用保険に12カ月以上加入していると、基本手当(失業手当とも呼ばれます)を受給できますが、自己都合退職では3カ月間の給付制限があり、その間失業手当を手にすることはできません。年金受給者は、この間年金の支給も止まります。

(※3)住居確保給付金:離職後2年以内の65歳未満の求職者で、住む家がない、あるいはなくなる恐れがあるなどの条件を満たすとき、家賃相当額の給付を申請できます。この給付金は、賃貸契約に必要な敷金、礼金などの用途には使えません。

(※4)総合支援資金貸付:この制度は貸付制度なので、生活保護制度とは異なり、返済する義務があります。生活支援金として単身世帯で月15万円、2人以上の世帯であれば月20万円以内。また、住宅の賃貸契約をするための費用として、40万円まで借りることができます。

いくら借りられるの?

生活保護を含む公的扶助・貸し付けの申請が通って、お金を手にするまでの「つなぎ」資金であることから、借りられる上限は10万円と比較的少額です。

ただし、この資金は貸し付けなので返済が必要です。実際のところ、「つなぎ」でありながらこの資金を申し込んでから手続きが終わり現金を手にするまで1週間ほどかかるのが現状です。生活保護の申請では、申請する際に手元の預貯金が半月分程度の生活費相当額なら余剰金ではないとして認められる傾向にありますが、このつなぎ資金でもお金を手にするまで1週間ほどかかるとすると、手元に若干の預貯金を残しておくことは極めて重要なことといえます。

申請条件は?

つなぎ資金貸付申請をするときには、住居のない離職者が本来の目的である公的扶助・貸し付けの申請を行い、窓口に受理されていることが条件です。

民間の銀行や消費者金融では、借りた金額を利子とともに返済可能かの個人信用情報を審査し、住居のない離職者で預貯金も生活ができる半月程度しかないという経済状況では、まず審査に通りません。しかし、つなぎ資金貸付は申請することができます。

受給条件は?

ケースワーカーによる面接で生活資金がないことを誠実に訴え、現状から抜け出すための労働意欲を示すことと、審査ののちに確実に資金を受け取るための、申請者を名義人とする銀行の預貯金口座が必要です。

手続きはどこでする?必要な書類は何?

臨時特例つなぎ資金貸付の手続き窓口は、市区町村の社会福祉協議会です。

社会福祉協議会は、社会福祉活動を推進することを目的とする非営利民間組織で、生活保護などの窓口である市区町村の役場にある福祉事務所とは異なります。

申請時に必要となる書類は、「臨時特例つなぎ資金借入申込書」、「現在申請中の、公的扶助・貸付の申請が受領済みであることを証明できる書類」、「申込者の名義の、金融機関の預金通帳」、「借用書」です。

このうち、「臨時特例つなぎ資金借入申込書」と「借用書」は、あらかじめ公的扶助・貸付の申請をした窓口(例えば、生活保護の申請なら市区町村の福祉事務所)に用紙があるので、つなぎ資金貸付の申請をする意思があることを告げて手に入れてください。

臨時特例つなぎ資金貸付のメリット

臨時特例つなぎ資金貸付のメリット

民間の消費者金融などのように借入申込をした個人に返済能力があることを貸付の条件にしていないことの他、次に示すようなメリットがあります。

無利子、連帯保証人が不要

民間の金融機関とは異なり、つなぎ資金の貸出額が上限の10万円でも無利子です。つなぎ資金の貸し付けから生活保護の扶助金や貸付金の決定後1カ月以内の返済期限まで、最長1カ月以上の貸し出しになるにもかかわらず、その間の利子が積みあがらないのは大きなメリットといえます。

また、つなぎ資金の申請にあたって、連帯保証人を設定する必要がありません。これは、本来の公的扶助・貸付がその後に確実に出るという保証がないことを考えると、これも大きなメリットといえるのではないでしょうか。

ただし、本来の公的扶助・貸付がその後出ないという決定がされたとしても、つなぎ資金の返済が免除されるものではありません。

臨時特例つなぎ資金貸付のデメリット

厚生労働省が発表している「臨時特例つなぎ資金貸付制度の実施状況」によると、ピーク時の平成22年度が6933件の利用件数で、6億5000万円の貸付額だったのに対し、平成27年度は、534件、3000万円にとどまっています。この減少傾向に関する考察がないので厚生労働省の見解が分かりませんが、以下のようなデメリット=利用者の不満があるのかもしれません。

10万円しか借りられない

本来の公的扶助・貸し付けが出て、お金を手にするまでの期間、手持ちの若干の預貯金と、つなぎ資金との合計額でやり繰りしなければなりません。家族構成や生活状況によっては、つなぎ資金を最高額の10万円にしても足りない可能性があります。

先に示した、「無利子」、「連帯保証人不要」というメリットを維持しつつ、「この上限がもう少し上げられたら」と思う人にとっては、「10万円しか借りられない」ことはデメリットということになるでしょう。

生活保護とは違って借りたお金を返済しなくてはならない

申請していた生活保護の支給が決定し、振り込みがなされてから、原則1カ月以内に全額を返済する必要があります。

つなぎ資金が貸付制度である以上、返済することは分かっていても、生活保護を受ける方にとっては大きな負担になりかねません。しかも、生活保護による生活扶助の給付額から自動天引きされると、生活保護制度の下でのやり繰りが冒頭から厳しいことになる可能性があります。

生活保護申請中でお金がないときのその他の対処法

お金がないときのその他の対処法

消費者金融やカードローンを利用しての借り入れは、返済能力がないと判断され、審査に通らない状況です。その中で、臨時特例つなぎ資金貸付を選択しない、あるいは申請もしつつ本来の公的扶助・貸し付けが始まるまでのつなぎ資金をさらに得たいというときには、何か他に対処法はないでしょうか。

申請中の生活費分だけ日払いのアルバイトで稼ぐ

まず、日払いのアルバイト(日雇い労働)で、日銭を稼ぐ方法があります。

ただし、この収入も生活保護を受給するようになってからケースワーカーに報告しなければなりません。ケースワーカーに、手持ち資金とそのときの世帯全員にかかる生活費を示し、差額を埋め合わせるために日払いのアルバイトがどうしても必要であったことを丁寧に説明しましょう。生活保護の生活扶助金額は、このときの収入分を減額しての支給になるのが原則です。

親や友達から借りる

親については、生活保護の申請をした際に福祉事務所から扶養照会がされていて、資金援助ができない旨の回答を得ているからこそ生活保護が始まっているわけですが、生活保護の生活扶助によるお金が手元に入るまでの短期間のつなぎとして、当面の生活費を借りることはできないかあたってみるというのはいかがでしょうか。

友達も、短期間の借金で生活扶助によるお金が手元に入ったら、必ず直ちに返すという約束で借りるというケースもあります。

いずれにしても、口約束では信用されないことが多いため、借用書を書くなどして信用してもらう必要があります。

生活福祉資金貸付制度が利用できないか相談する

生活福祉資金貸付制度とは、生活保護を受けるほどではないものの、生活資金などに困っている人に対して貸し付けを行う、国の制度です。実施主体は、都道府県社会福祉協議会(手続きは市区町村の社会福祉協議会)で臨時特例つなぎ資金貸付と同じです。生活福祉資金貸付は、生活保護を受けるほどでなく、収入も住宅もあり、生活資金などを借りたい世帯向けの貸付制度で、連帯保証人を付ければ無利子で生活費などを借りられるため、生活保護を受けている場合でも、社会福祉協議会にダメ元で相談してみる価値はあるかもしれません。

なお、生活福祉資金は返済が必要な借金にあたります。また、その金額は生活保護制度では収入とみなされるため、ケースワーカーへの報告によって最低生活費が減額されることになります。

臨時特例つなぎ資金貸付は返済の必要があることに注意

今回は、生活保護の申請をしてから実際にお金を手にするまでの「つなぎ資金」としての貸付制度である「臨時特例つなぎ資金貸付」についてご紹介しました。

生活保護、臨時特例つなぎ資金貸付、生活福祉資金貸付と、銀行や消費者金融でローンが組めない状況にある人も、公的なこれらの制度を利用することで、一時的困窮対策を行うことができることを知っておくべきでしょう。ただし、あくまでも貸し付けのため、返済する必要があります。今後の生活のことを考えて申請することをおすすめします。

大山 敏和
大山 敏和

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表

2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。

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