起業にはいくら必要?新規開業資金などの開業資金を調達する方法

起業にはいくら必要?新規開業資金などの開業資金を調達する方法

積み上げられた貨幣

開業資金はいくら用意すれば良い?起業する際の資金調達方法

終身雇用で賃金が右肩上がりというのは、もはや過去の話になってしまいました。働き方改革が叫ばれる中、本業とは別に副業をしたり、企業に属さずにフリーランスで働いたりするケースも少なくありません。また、法人、個人を問わず、自分が事業主として独立する人も多いでしょう。

独立や新規開業をする際、大前提として先立つもの、すなわちお金が必要になります。開業資金の必要金額は業種や事業の規模によって異なります。また開業資金を調達する方法も1つではありません。

今回は、起業する際にどのくらいの資金を用意すれば良いのか、また開業資金を調達する方法についてご紹介します。

起業にはどのくらいの資金が必要?個人事業主と法人の違い

棒線グラフ

いざ起業する場合、一体いくらくらいの資金が必要になるのでしょうか。個人事業主として事業を行う場合と、会社を設立して事業を行う場合でも、必要な費用は変わるのでしょうか。

まずは、個人事業主と法人の違いについて確認してみましょう。

個人事業主とは

確定申告書

個人事業主とは、いわゆる自営業者のことを指します。法人格(次項参照)を持ちませんので、銀行で口座を作るときも、確定申告をするときも、すべて個人名義で行うことになります。

開業届を提出する必要がありますが、個人で事業を行う場合は個人事業主になりますので、個人事業主という立場になるために必要な経費というものはありません。税金については、事業によって得た利益は事業所得として所得税、住民税の対象になる他、一定以上の事業所得がある場合は、個人事業税、同じく一定以上の課税売り上げがあれば消費税を納めます。

法人とは

オフィス

個人事業主と違い、法人格を持つのがいわゆる「法人」の事業者です。「株式会社」「有限会社」の他、「合名会社」「合資会社」「合同会社」などいくつかの形態がありますが、一般的なのは「株式会社」でしょう。既存の有限会社の存続は認められていますが、2006年の会社法施行以降は新たな有限会社を設立することができなくなりました。

さて、この法人ですが、法人はそれ自体が人格を持つ存在として認められています。それゆえ、法人名義で銀行口座を開くこともできますし、お金を借りることもできます。法人の確定申告はそれぞれの決算月によって時期が決まっていますので、個人の確定申告のように一律で期限が定められているわけではありません。

法人を設立するための細かな流れに関してはここでは触れませんが、株式会社の場合でも、およそ25万円もあれば会社を作ることは可能です。この金額は定款の認証や登録免許税などの設立登記にかかる費用ですので、手続きを行政書士などに依頼したら別途手数料が発生します。また、実印や銀行印を作る費用も別途必要です。

会社法施行以前は、資本金として1,000万円用意する必要がありましたが、現在は資本金の制限がなくなりましたので、極端な話資本金1円でも法人の設立は可能です。

株式会社は株式を所有している人のものですので、必ずしも代表取締役=会社の所有者(オーナー)というわけではありませんが、自分で法人を設立して起業する人の場合は、オーナー社長となるケースが一般的でしょう。

起業に必要な資金額は業種によって異なる

貨幣の上で悩む起業家

前項の通り、個人事業主であれ法人の社長であれ、その立場になること自体にはそれほど大きなお金がかかることはありません。

むしろ資金が必要なのは、事務所や店舗を構えたり、商品を仕入れたりといった、事業を行う上での準備にかかる部分でしょう。 以下、いくつかの業種を例に挙げて考えてみます。

システム開発やデザイン制作系の業種

パソコンでのグラフィック作成

プログラマーやシステムエンジニア、あるいはデザイナーなどは、他業種に比べて企業に属さないフリーランスの立場で仕事をされている場合が多いようです。

こういった業種の方は独立前からある程度準備されているケースが多く、開業にあたって必要な資金はそれほど多くありません。あえて挙げれば、パソコンやソフトなどを新しくする費用くらいでしょうか。事務所も自宅の一室で十分に可能ですし、どうしても住居と事務所を分けたい場合は、SOHOなどを利用して費用を抑えることができます。あえて法人化する必要もないでしょう。

費用はかなり抑えることができますので、100万円あれば開業までこぎつけることは可能でしょう。

ただし、社員を雇って事業を行うのであれば、規模や人数に見合った事務所と設備を準備する必要がありますので、その心づもりをしておいてください。

飲食業など設備、店舗が必要な業種

コップを持つ女性

飲食業は大きな初期投資を必要とする業種の1つです。開業する場合は、まず店舗を確保する必要があります。人通りの多い通りに面した路面(1階)の店舗など、立地条件の良い場所になればなるほど、当然ですが家賃が高くなります。

とはいえ、どんなに安くても客の入りが悪そうなところでは店がはやらないかもしれません。暖簾(のれん)分けなど、はじめからネームバリューがある場合は多少立地が悪くても問題ないかもしれませんが、完全に1から始める場合はそういうわけにもいかないでしょう。

店舗を借りるには、前家賃や敷金礼金(あるいは保証金など)、不動産会社へ支払う仲介手数料がかかります。家賃が10万だとしたら、その5~6倍くらい、つまり50~60万円は用意する必要があるでしょう(立地が良ければもっとかかることもあります)。さらに、居抜きでそのまま使える場合はともかく、店舗を改装する必要がある場合は、別途改装費用がかかります。大きさや必要な設備、意匠のこだわりなどにより金額はまちまちですが、数百万円から1,000万円ほどかかることも珍しくありません。

さらに、食材などの仕入れにかかる費用や人件費などを数カ月分用意しておく必要もあります。これらを合計すると、初期投資はかなり高額になりますので、自己資金だけで賄うのは難しいかもしれません。

開業費用がいくらかかるというのは一概に言えませんが、店舗+改装費+運転資金で、最低1,000万円くらいは見ておいた方がいいかもしれません。

商品販売を行う業種

商品の説明をする販売員

商品販売業も、やり方によって初期投資金額は大きく変わります。1番大きなポイントは、実店舗を持つかどうかです。店舗を必要とする場合は、飲食業の場合と同じく、店舗を借りる費用と店舗の改装費用を用意する必要があります。飲食業のような調理設備や排煙設備などは必要ないため、比較すると費用を抑えられることが多いでしょう。

店舗を持たない、要するに通販限定もしくはイベント会場を都度借りるなどして販売する場合は、自宅を事務所にすることができますので、その分費用を抑えることが可能です。ただ、商品の大きさや種類によっては、自宅だけでは場所が足りずに保管場所を借りないといけないケースもありますので、その場合は倉庫を借りる費用がかかります。また、肝心の商品仕入れにかかる費用もあらかじめ必要です。商品の種類や性質、単価によって金額は全く違ってきます。

商品販売業の開業も、店舗+倉庫+運転資金で200万円くらい、あとは商品仕入れにかかる費用は最低限準備しておきましょう。

開業資金を調達する方法

既に説明したように、開業資金は業種や、店舗を構えるかどうかによりかなりの差が出ます。

規模を大きくすれば当然必要な資金も大きくなるでしょう。ここでは、開業資金を調達するためにはどのような方法があるかについて簡単にご紹介します

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫(日本公庫)は、銀行をはじめとする一般の金融機関を補完し、国民生活の向上に寄与することを目的とする日本政府100%出資の政策金融機関です。

日本政策金融公庫では、「新規開業資金」として最大7,200万円(うち、運転資金は4,800万円)までの借り入れをすることができます。利用する際の条件や審査基準が設けられていますが、借入額が1,000万円以下であれば基本的にはどんな業種や業態でも借り入れ可能です。ただし、きちんとした事業計画書の提出が求められますので、誰でも無条件に借りられるというわけではありません。

なお、一度事業に失敗した(廃業した)経験がある方を対象に、「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」という制度も用意されているので、該当する方は利用を検討されてはいかがでしょうか。

銀行融資

もっともオーソドックスな資金調達方法が、銀行融資を受けることです。開業前であれば、事業計画書の内容を審査されることになります。新規開業する業種の経験はあるのか、どういう根拠でどれだけの売り上げが見込めるのか、そのためにどういう経費がかかるのか、開業資金はどのような用途に使うのかなど、かなり細かな点まで審査対象になりますので、綿密な事業計画を立てるようにしてください。

補助金や助成金

国が主体のものもあれば、地方自治体が主体のものもあり、時期によっても受付している内容が違うなど、補助金や助成金の内容はさまざまです。中小企業向け、創業する方向け、ものづくりに特化したものや、地元での起業を促進するものなど、補助や助成の対象も異なります。起業前にはその地域でどのような補助金、助成金があるのかを下調べすると良いでしょう。

なお、補助金、助成金も当然審査をパスしなければなりません。申込期日や定員に気を付けつつ、説得力のある事業計画書を提出できるように心がけましょう。

中小企業ファンド

地方自治体や地元金融機関などが集まり、中小企業向けに融資や補助金を助成する、いわゆる中小企業ファンドというものがあります。融資や補助金の額、申込者の条件や利用目的などは、ファンドによってさまざまですので、自治体の助成金などと合わせて、自分が利用できそうなものがあるかどうかをチェックするようにしましょう。

ノンバンク

ノンバンクとは、預金業務を行わない融資専門の金融機関です。通常の銀行などと比べると、融資審査が甘く、その分金利が高いという特徴があります。事業融資も取り扱いがありますので、銀行融資が受けられなかった場合等、多少金利が高くても資金を必要とする場合は、ノンバンクから融資を受けることも視野に入れてみてはどうでしょうか。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは最近注目されている資金集めの手法です。主にインターネットやSNSを通じて、不特定多数の人から資金を調達します。従来の銀行融資は、銀行が納得するような事業計画書を必要としましたが、クラウドファンディングの場合は、多数の人に共感されるような事業計画(プロジェクト)を策定する必要があります。

なお、クラウドファンディングには、寄付型、融資型、投資型、購入型、という類型があり、返済を要するものや、利益を分配しなければならないもの、サービスや権利を賦課するもの等、類型によってのちの対応が変わってきます。クラウドファンディングを利用する場合は、あらかじめどのような形態で資金を調達するのかを考えておく必要があります。

以上、ごく簡単にではありますが、開業資金を調達する方法について確認してきました。事業計画書を銀行などの第三者に見てもらうことで、安定した収益を得られるか、事業を長く継続していけるのかを客観的に判断してもらえます。もし全額自己資金で開業するという場合でも、他の人から事業計画についてアドバイスをもらうことをおすすめします。

起業するときは開業資金などの準備を万全に

今回は、起業に必要な開業資金や、開業資金の調達方法についてご紹介しました。

独立・起業を考えている人は、とかく理想を追いがちです。もちろん、理想や目標、目的は事業を行う上でなくてはならないものですが、それだけで事業を継続できるほど甘くはありません。

どうやって売り上げを上げるのか、どうやって利益を出すのか、そのためにどういう経費が必要でどれだけの先行投資が必要なのか、綿密な計画が求められます。また、すべてを自己資金で賄う場合は別として、融資や助成金を受けるにあたっては、自分の思い描く計画を、事業計画書という形で相手方に理解してもらう必要があります。

独立・起業は人生の大きな勝負どころとなります。見切り発車で後悔しないためにも、きっちりと準備をするようにしましょう。

田中 裕晃
田中 裕晃

ファイナンシャルプランナー
日本FP協会主催「くらしとお金のFP相談室」で平成29年度相談員担当

大手賃貸仲介業者に就職、新人賞獲得。店長職を経験後、売買仲介業者として独立。 その後、創業者杉本雅幸の後継として株式会社大峰の代表取締役に就任、現在に至る。住宅の取得やそれに付随するライフプランニングの設計、資産の組み換え、相続対策などに関しての相談業務を行っている。

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