住民税が払えない!滞納すると差し押さえされるの?分割納付はできる?

住民税が払えない!滞納すると差し押さえされるの?分割納付はできる?

税金がのしかかるイメージ

住民が高くて払えない!分割納付は可能?滞納するとどうなる?

学校卒業後、4月から社会人として働きだし1年2ヶ月が過ぎた頃、給与明細に異変があったのを覚えているでしょうか。住民税の天引きが始まり手取り金額が少なくなったはずです。しかし、ずっと働いているとそんなことは気にならなくなり、今となっては住民税が天引きされていること自体、忘れている人も多いのではないでしょうか。しかし、日頃からしっかりと意識しておかないと思わぬ落とし穴に嵌ってしまうかもしれません。

今回は、住民税が払えなくなるケースや滞納時の対処法、分割納付のポイントについてお伝えいたします。

そもそも住民税って何?金額はどうやって決まるの?

住民税・所得税とお金

住民税の滞納などについて説明する前に、まず住民税とはどのようなものなのかをご説明します。

住民税とは

住民税とは一定以上の収入がある人から徴収し、自治体のサービス向上等に役立てられている税金です。もっと簡単に説明するならば、公共施設をつくったり維持したりするために、給料やその他の稼ぎのあった人たちが出し合う税金のことです。難しい言葉で解説するならば道府県民税と市町村民税の総称です。東京の場合は、都民税と特別区民税と呼び方が変わりますが、その内容や計算方法については大差ありません。

住民税があるから公立の学校で授業料を支払うことなく勉強することができますし、警察官・消防士・救急隊員がイザというときに助けてくれます。ほかにも、家庭ごみの収集をしてもらえたり、図書館で本を読んだりできるのは住民税のおかげです。

住民税の計算方法

住民税を計算するためには、会社員であればまず年間の給与収入から給与所得控除を差し引いて「給与所得」を求めます。次に、給与所得から一人ひとりの背景を考慮した所得控除を差し引き「課税標準額」を求め、その課税標準額に応じて「調整控除額」を導き出します。最後にそれらを下記の式に当てはめて計算することで、住民税額を割り出すことができます。

式:(課税標準額×10%-調整控除額)+5,000円

詳細は後述しますが、ほとんどの地域では所得割と呼ばれる税率が10%、均等割と呼ばれるものが5,000円で統一されています。

住民税が払えないのはどんなとき?

お金がなくて落ち込む女性

会社員で給料以外に収入がなければ、住民税は特別徴収される(給料振り込み前に天引きされる)ため、あまり意識することはありません。住民税が支払えなくなる落とし穴は、この意識の薄さが原因になっているケースが多いです。

失業・退職して無職なのでお金がない

たとえば、2017年12月31日で退職した場合、2017年分の住民税は2018年6月から2019年5月にかけて支払うことになります。そのため、たとえ退職時に会社で「6月から住民税を納めなければならない」と聞かされていたとしても、忘れた頃に請求されるという構図になります。もし退職後、2018年の春ごろまでに転職がうまくいっていない場合は、窮地に立たされることになります。

自営業で昨年は好調だったが今年は赤字が続いている

既に説明した通り、住民税は前年の所得分を支払うことになります。そして、自営業の人は会社から天引きされることはありませんので、自ら住民税を納めに行かなければなりません。前年が好調で今年は赤字というのは往々にしてあることなので、前年の儲けを残しておかないと年が明けてから慌てることになります。

他県・他市へ引っ越したら住民税が高くなった

住民税は1月1日時点の住所地に納めることになります。たとえば、2017年3月までは東京に住んでおり、2017年4月に大阪に引っ越したのであれば、2017年6月から2018年5月までは東京に住民税を納付し、2018年6月以降は大阪に住民税を納付することになります。

そして、ほとんどの地域では所得割の税率が10%、均等割が5,000円ですが、稀に税率や均等割の金額が異なることがあります。たとえば、岡山県岡山市では一時的にですが「おかやま森づくり県民税」分の500円増額されており、均等割が5,500円で計算されます。ほかにも神奈川県では所得割が10.025%、均等割が5,300円で計算されます。

均等割の増額分であれば、数百円程度ですが、所得割は所得に対する割合なので、前年の所得がものすごく高かった場合などは要注意です。

うっかり支払いを忘れていた

「払えない」とは少しニュアンスが異なりますが、単純に支払いを忘れていた場合や納付書の紛失によって住民税を納めていないケースもあります。そのような理由であったとしても、住民税を支払っていないのであれば「滞納」として扱われますので注意しましょう。

不定期シフトのため自分で支払う必要があったが気が付かず支払っていなかった

上記と似たケースですが、こちらは「住民税を自分で支払う必要があることを認識していなかった」というケースです。

近年、どこの自治体も確実に住民税を徴収するため、すべての従業員の住民税を給料から天引きするよう各企業へアプローチしています。しかし、不定期シフトの場合、給料からの天引きを免れている可能性があります。

給料が少なすぎるケースや、月によって給料が全く発生しないという場合などは天引きすることができませんので、例外的に普通徴収(企業が天引きして納めるのではなく従業員本人が納めること)を認めていることがあります。

その企業で働きだしてから1年半以上経過しているにも関わらず、給料明細を確認して住民税(市民税・県民税)が差し引かれていない場合は、会社へ住民税の徴収方法が普通徴収なのか特別徴収なのかを確認してみましょう。

住民税を滞納するとどうなる?

住民税が給与天引きされている会社員ならば住民税滞納に陥ることはないでしょうが、退職後で無職の状態の人や個人事業主の人などは様々な事情で滞納してしまう恐れがあります。

税務職員が誤指導をした場合や確定申告書提出後に法令解釈が明確化した場合、また申告期限時に課税標準等が確定しなかった場合などのように正当な理由がないかぎり、滞納者には厳格な処分が下ります。以下で、その流れをご紹介します。

納期限の翌日から延滞金(延滞税)が発生!

住民税に限った話ではありませんが、税金は納期限から1日でも遅れると延滞税というペナルティが課せられます。

延滞税の計算式:①の金額+②の金額=延滞税(100円未満切り捨て)

①納期限の翌日から2ヶ月以内の計算(1円未満切り捨て)
(納付すべき税額×延滞税率×2ヶ月以内の日数)÷365日
税率は原則7.3%、ただし2018年1月1日から2018年12月31日までは2.6%です。
②納期限の翌日から2ヶ月超の計算(1円未満切り捨て)
(納付すべき税額×延滞税率×2ヶ月超の日数)÷365日
税率は原則14.6%、ただし2018年1月1日から2018年12月31日までは8.9%です。

納期限を過ぎると督促状が届く

納期限から20日以内に督促状が届きます。金銭的に支払うのが厳しいと感じている人は、督促状が届いても「税金の納付は少しぐらい遅れても大丈夫」という希望的観測を繰り広げやすい傾向にありますが、このタイミングで他の支払いより後回しにしてしまうと、後々大変なことになります。尚、督促状が届いた時点で延滞税のほか督促手数料(100円程度)が加算されます。

督促状を無視していると電話や自宅訪問で催促される場合も

督促状を無視していると、職員から電話があったり自宅訪問されたりする可能性もあります。督促状を無視している人は、きっとこの段階でも不在着信のまま放置したり居留守を使ったりといった策をとりやすいでしょう。

無視を続けていると差し押さえが…?!

督促状を無視すると、電話連絡や自宅訪問といった直接的なアプローチと並行して催告書が届くでしょう。書面を見ても一見督促状と何ら変わらないように感じますが、差し押さえについて触れています。強制執行や強制徴収、滞納処分といったキーワードがあれば、それは差し押さえを意味します。

その後、かなり目立つ色の封筒で差押予告書といった書類が届きます。これが、最後の通告になります。それでも無視し続けていれば、いよいよ差し押さえです。

一般的な借金であれば、訴訟を起こしてからでないと差し押さえできないケースがほとんどですが、税金は訴訟手続きをせずとも差し押さえできる権限があります。また、法律上はこのような手続きを踏まずとも、督促状を郵送した日から起算して10日以内に払わなければ差し押さえが可能とされています(地方税法第331条)。そのため、役所がその気になれば一瞬にして差し押さえられてしまいます。

差し押さえできるものとできないもの

なんでもかんでも差し押さえられてしまうわけではありません。差し押さえられるものとしては、給料、預金、現金、家具類、不動産、自動車などが挙げられます。一方で、衣服や台所用具、収入を得るために必要なものなどは差し押さえの対象となりません。

また給料に関しては、民事執行法第152条により原則として給料の4分の1までのみが差し押さえの対象になります。ただし給料が33万円以上の場合には、33万円を超えた分はすべて差し押さえされる可能性があります。

住民税が払えないときの対処法

住民税が払えず給料の差し押さえの手続きをされると、勤務先にバレたり、金融機関等にバレたりします。そうなると社会的信用が失われ、解雇されたり自主退職を促されたりする可能性があります。そうならないためにも、住民税が払えないときの対処法を確認しておきましょう。

【NG対処法】夜逃げして時効を待つ

砂時計とカレンダー

住民税にも原則5年で時効になるというルールがあります。そのルールを知ってしまうと、夜逃げでもすればいいと思ってしまうかもしれませんが、家や仕事を捨てることは難しいでしょうし、時効の中断と呼ばれる制度が設けられているため、あまり現実的ではありません。倫理的にも、とてもおすすめはできません。

役所で相談して住民税の減免(減額・免除)や猶予が適用されるかどうか確認する

役所で相談する女性

生活保護法の規定による各種扶助を受けている人、解雇・倒産などにより失業し雇用保険基本手当の受給資格がある人、所得が前年の60%以下に減少する見込みの人、事故などによって障がい者になったり自然災害などの被害を受けたりした人などは、住民税の減額や免除の対象になる場合があります。役所の窓口で相談してみましょう。

役所で相談して住民税の分割納付をお願いする

分割納付のイメージ

お金の都合がつかない旨を役所の窓口で相談すると、住民税を分割納付できる可能性があります。たとえば、住民税額が年間24万円だとして普通徴収の人は年4回6万円ずつ支払うことになりますが、それを毎月2万円ずつ支払うといった相談ができます。

しかし、翌年以降もずっと住民税額が年間24万円になる見込みでありながら、毎月2万円を下回る金額を提示した場合は、少し難しいかもしれません。2017年分で24万円、2018年分も24万円見込みの場合、毎月1万円ずつ支払っても、どんどんマイナスが増えていくだけですので、厳しい審査をされることになるでしょう。特に、少額の分割納付を希望しておきながら、多額の生命保険料を支払っている場合などは、強制的に生命保険が解約され解約返戻金を徴収される可能性があります。

家族や友人にお金を借りる

家族からお金を借りる男性

住民税は所得税同様、稼ぎがある人が納めるべき税金です。稼ぎがありながら、納税分を残しておかなかったとなれば、「自己管理能力がありません」と公言している気分になり、なかなか相談しづらいかもしれません。なんでも話し合える関係であれば、相談してみるのもありだと思います。

ただ、現実的には親と疎遠になっていて言い出しにくい場合もあるでしょうし、厳格な親であればこっぴどく怒られることも想像できます。お金の貸し借りが発端となり、友達との縁が切れてしまうことも考えられます。できることなら家族や友達からは借りたくないと思う人のほうが多いことでしょう。

カードローンでお金を借りる

カードローン

カードローンと聞くと直感的に「借金はイヤ!」と思ってしまうかもしれませんが、論理的に賢く考えてみましょう。
住民税を2ヶ月以上滞納している場合、延滞税率は原則14.6%、2018年に限っていえば8.9%です。普通預金の利息が0.001%と謳われている時代に、なかなか高い利率だと思いませんか。30日間無利息と謳っているカードローンもあり、実際に調べてみると、カードローンの利率が延滞税率よりも安い、ということも珍しくありません。

自分にとって大事なものを差し押さえられ、おまけに社会的信用まで失うよりかは、金融機関でお金を借り入れて住民税を払った方が良いといえるでしょう。

住民税が払えない場合は滞納する前に役所に相談しに行こう

今回は、住民税が払えないときの対処法についてご紹介しました。

住民税を滞納すると、最後には給料や預金、家具、不動産などが差し押さえされてしまいます。住民税が払えない状況が続いてしまっている場合は、いかに早いタイミングで誠心誠意支払う意思を見せるかがポイントになります。場合によっては分割納付することもできるので、住民税が支払えないとわかったときや督促状が届いた段階で、すぐ相談しに行きましょう。

住民税は非免責債権のため、たとえ自己破産をしても免責されることはありません。支払う義務の優先度が非常に高いものです。ズルズルと後回しにせず、一刻も早い対処をするのが得策といえるでしょう。
鍛治田 祐子
鍛治田 祐子

CFP(R)認定者/1級FP技能士
NPO法人 全国NIE.E指導委員会 講師指導委員
FPおふぃすプラスめいきっと代表

奈良県在住のファイナンシャルプランナー。幼少期はちょっぴりリッチな生活を送るも、知人の連帯保証人になっていた祖父の自殺をきっかけに家族はバラバラ、高校時代はホームレスを体験。IT業を経てFPへと転身。「お金のことは難しい」と思う人と同じ目線で分かりやすく、ひとりでも多くの人にお金の知識/知恵/知性をプレゼントする活動をしている。

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