求職者支援制度とは?訓練給付金はいくらもらえる?

求職者支援制度とは?訓練給付金はいくらもらえる?

履歴書

求職者支援制度の訓練給付金の額は?

単に職にありつくというのではなく、自分の目標を実現できる仕事に就くために必要なスキルの取得、あるいは向上を目指す方法としてはどのような方法があるでしょうか。プロになるためには、本を読むなどして関連業務の知識を身につけるだけではなく、訓練を伴う反復練習、場合によってはその先の資格取得が必要です。
今回は、公共の制度を利用して、給付金をもらいながら再就職という目的を達成することができる、求職者支援制度と訓練給付金についてご紹介します。

求職者支援制度とは

会社に勤務しているときに雇用保険制度に加入していた場合、退職後に一定の要件のもとで失業保険の給付金をもらいつつ、「技能習得手当」をもらえる可能性があります。技能習得手当とは、公的機関で必要なスキルを習得するときに受給できる可能性がある給付金のことです。
これに対して、雇用保険制度に加入していなかったなどの理由で技能習得手当を受給できない人は、「求職者支援制度」を利用することができます。求職者支援制度は、一定期間の職業訓練の受講と公共職業安定所(ハローワーク)による就職支援を得ながら早期の就職を目指す制度で、給付金ももらえます。ハローワークによる就職支援は、必要と認められれば選任の担当者が就くこともあります。

具体的に、求職者支援制度とはどのようなものなのか見ていきましょう。

求職者支援制度の対象となる人とは

求職者支援制度は「特定求職者」の方を対象にした制度です。特定求職者とは、簡単に説明すると、技能習得手当が受給できない状況の中、ハローワークで職探しをしている人のことです。
具体的には、以下の4つの要件を満たしている必要があります。

  1. ハローワークで求職の申し込みを行っている
  2. 働く意思と能力がある
  3. 職業訓練などの支援を行う必要性をハローワークが認めている
  4. 雇用保険被保険者や受給資格者ではない

最後の要件については、雇用保険に加入していなかった人、加入していたが期間が短く受給要件を満たせなかった人、失業保険の給付金を所定給付日数(※1)まで受給し終わってもなお就職先が決まっていない人、新卒で就職先が決まっていない人、自営業を廃業して職を探している人などがこれにあたります。

(※1)所定給付日数

失業保険の給付金を受給できる期間。退職の理由や退職時年齢および雇用保険の加入期間でその日数が決まります。

訓練給付金(職業訓練受講給付金)の詳細

求職者支援制度の職業訓練受講給付金は、厚生労働大臣の認可を受けた民間教育訓練機関が行う求職者支援訓練に参加し、一定の要件を満たすことで受給することができます。訓練は営業・販売・事務からIT、介護・福祉、旅行・観光、各種デザイン、電気・機械・金属、理容・美容など多くのコースが用意されています。
また、一般企業に勤めていた人が業務経験を生かしてさらに自分のスキルを向上するために受講する研修と、一般企業で働いたことがない人も含め一からスキルを身につけ、向上するための研修とでは、研修の内容が若干異なります。

それでは、職業訓練受講給付金の詳細を確認していきましょう。

職業訓練受講給付金支給の要件

講義を受ける人

求職者支援制度の給付金をもらうための要件として、本人や家族の収入、所有資産状況などがあります。主な要件は以下の通りです。

  1. 本人の収入が申請時点でひと月8万円以下(家族を持つ人は、世帯全員の収入合計が25万円以下)
  2. 世帯全員の預金額の合計などの金融資産が300万円以下
  3. 現在の住居以外に土地・建物を所有していない
  4. 世帯内で訓練給付金を同時に受給している人がほかにいない
  5. 過去3年以内に、偽りその他不正行為により、給付金の支給を受けたことがない

またこのほかに、訓練を受けている最中の支給要件として、受講している職業訓練にやむを得ない事情で欠席する日があったとしても、ひと月当たり8割以上訓練に参加していることが求められます。参加したという認定は、職業訓練受講給付金支給申請書の裏にある求職者支援訓練等受講証明の受講日、受講時間に基づいて訓練施設長によって行われます。

通所手当と寄宿手当について

電車のつり革を握る人

通所手当として、家から訓練の場所まで経済的で合理的な手段で移動するときの実費が支給されます。寄宿手当は、訓練を受けるため、普段同居している配偶者などと別居して寄宿する場合で、ハローワークが必要性を認めた場合に支給されます。

職業訓練受講給付金が受給できる日数

カレンダーとピン

給付金が受給できる求職者支援制度の職業訓練には、基礎コースと実践コースがあり、どちらのコースを選ぶかによって訓練期間が異なります。給付金は訓練期間中に受給することができるため、職業訓練のコースによって給付金を受給できる日数も変わってきます。

基礎コースは民間企業での仕事の経験がない人を対象に構成されていて、最初の1カ月は社会人としてのビジネスマナーやコミュニケーション能力の向上を図る期間に充てられる点が特徴です。訓練期間は2~4カ月が一般的なため、給付金を受給できる期間も2~4カ月となります。
これに対して実践コースは、自分が就きたい職種に必要な専門的な技能を実践形式で身につけることに主眼を置いたものです。訓練期間、つまり訓練給付金を受給できる期間は、3~6カ月が一般的です。

職業訓練受講給付金の支給額

封筒に入ったお金

職業訓練受講給付金は、訓練のコース(カリキュラム)にかかわらず、月に10万円を上限に受給できます。受講手当として10万円をもらうには、ひと月に28日以上訓練に出席する必要があります。

詳しく説明すると、訓練施設長が認定する参加日がひと月に28日以上になった場合、職業訓練受講手当は10万円になります。ひと月に27日以下の場合は、1日当たり3,580円として、参加認定日の日数分が支給されます。

また、自宅から訓練する場所までの交通費も、通所手当として実費分支給されます。通所手当の上限額は、ひと月42,500円です。自宅から訓練する場所まで通えない等の理由があるときは、寄宿手当と呼ばれる宿泊費も支給されます。寄宿手当は月額10,700円です。
職業訓練は、受講コースにかかわらずおおむね土日祝日は開講されないので、月平均の訓練日は20日ほどとすると、受講手当の1日の支給額3,580円×20日分で、受講手当の相場は71,600円程度となります。このほかに通所手当、場合によっては寄宿手当が支給されます。

では、失業保険を受給しながら公共職業訓練を受けて技能習得手当を受給する場合はどうなるのでしょうか。失業手当が下限額(※2)の人の場合は失業給付金が55,552円(28日分を受給した場合。1日当たりの失業手当の下限額は平成30年8月1日時点)で受講手当が1日500円で20日分とすると合計は65,552円となり、これに通所手当がつきます。

このことから、自分が受けたい研修のコースが求職者支援制度の研修にある場合で、自分の失業保険の受給額が低いときには、あえて失業保険を受給する手続きをしないで求職者支援制度を利用することができないか、ハローワークの担当者に相談をしてみることも良いのではないでしょうか

(※2)失業手当が下限額

雇用保険に加入していた人が失業中に受給できる失業保険の額は、失業前の給料の額によりますが、この失業保険の額には下限となる額が決められていて、給料の額から計算される失業保険の額がこの下限額を下回るときは、下限額が失業保険の受給額になります。

訓練給付金(職業訓練受講給付金)の申請手続き

では、求職者支援制度の訓練給付金を受給するための手続きについて確認していきましょう。

申し込みができるのは特定求職者のみ

訓練給付金の申請ができる人を特定求職者と言います。この特定求職者とは、「求職者支援制度の対象者」で述べた通り、失業保険が何らかの理由でもらえない人でハローワークに求職の申し込みをしている人です。また、本人に労働の意思と能力があり、職業訓練の必要性をハローワークが認めた人です。手続きは、申込者が特定求職者である必要があります。

訓練給付金の申請前にやるべきこと

訓練給付金を申請するに先立ち、最寄りのハローワークで求職者支援制度の説明を受けると良いでしょう。ハローワークは、求職者支援制度を利用する人に職業訓練に関するアドバイスやその他の支援をすることになっているので、まず説明を受けて、わからないところは質問をするなどしてハローワークの担当者に求職の意欲と能力を示し、まず顔を覚えてもらうことが重要です。また、そのときに自分の希望や考えを述べることで職業相談や自分に合った訓練コースのアドバイスが得られます。

訓練給付金の事前審査と受講申し込みの申請先

訓練受講の申し込みをする際は、まずハローワークの窓口で手続きを行う必要があります。
前項で説明した通り、分野ごとにさまざまな訓練コースがあるので、詳しく説明を聞き、納得のできるコースを決めます。コースが決まったら、「受講申込・事前審査書」その他の書類を受け取り、必要事項を記入するなどしてハローワークに提出してください。
ハローワーク受講申込書へ受付印を押してもらうと、受講申込書を民間教育訓練機関に提出することができます。民間教育訓練機関は、ハローワークの受付印がなければ受講申込書を受け付けてくれません。必ず先にハローワークへ行くようにしましょう。

訓練給付金の事前審査と受講申し込みの手続きに必要な書類

事前審査時の書類

申請を行う際は、「受講申込・事前審査書」「受講申込書」「職業訓練受講給付金要件申告書」「職業訓練受講給付金通所届」が必要です。受講申込・事前審査書には、個人番号(マイナンバー)を記入する欄があるので、個人番号カードなどの番号確認書類と運転免許証などの本人確認書類および住民票も用意しましょう。
また、上記「職業訓練受講給付金支給の要件」で述べた通り、本人や世帯全員の収入や資産状況が問われるので、戸籍謄本や世帯全員の住民票、収入がある世帯全員の所得証明書などの書類が必要になります。受講申込・事前審査書により、希望する訓練番号のコースが開講されるかなどの確認ののち、受講申込書にハローワークの受付印をもらいます。

訓練実施機関への申込時の書類

ハローワークの受付印をもらった受講申込書を、そのコースを開講している訓練実施機関へ提出します。訓練実施機関では、書類選考、筆記・面接などで合否を決めることになります。合格通知が来たら、再度ハローワークに出向いて、ハローワークが作成する「就職支援計画」をもらい、職業訓練を受けるための指示を受けることになります。

訓練給付金の支給申請をする時期

給付金の支給申請は、月に1度のペースで申請をします。訓練の受講中と修了後3カ月の間は、月に1度、指定された来所日にハローワークへ出向いて職業相談を受ける必要があるため、同じ日に支給申請を行います。

訓練給付金の支給申請の手続きに必要な書類

訓練施設長の証明がある受講証明と、ハローワークから渡されている就職支援計画書、やむを得ない理由で訓練を欠席した場合はその証明書(診断書など)を提出することで訓練給付金の申請をします。

訓練給付金(職業訓練受講給付金)に関するその他の注意点

給付金がもらえる代わりにいくつかの義務が生じる

注意点を説明するイメージ

求職者が失業給付を受けて受講する公共職業訓練と、今回詳しく紹介している、失業給付を受けることなく受講する求職者支援訓練では、ハローワークによる各種指示を受けることになります。

このうち、求職者支援訓練で受ける指示は、「支援指示」です。支援指示を受けることにより、失業保険を受給できなくてもひと月10万円までの職業訓練受講給付金や通所手当を受けることができます。ただし、支援指示を受けることで、原則的に訓練を休めなくなるほか、月に1度はハローワークへ出向いて事前に渡されている就職支援計画に基づいた就職支援を受ける義務が生じます。

一方の公共職業訓練では、「受講指示」を受ければ技能習得手当の受給ができますが、「支援指示」のように定期的にハローワークへ出向く必要はありません。失業保険の給付を受けるために必要な求職活動の実績を示すことも不要です。

求職者が失業給付を受けて受講する公共職業訓練では、本人の条件により「受講指示」と「受講推薦」というようにハローワークの指示内容が変わります。受講指示は先ほど紹介したほかに、失業保険の受給期間が訓練中は延長されるなどのメリットがありますが、受講推薦の場合はこれらのメリットなしで訓練に参加することになります。

訓練給付金をもらうためには施設長の受講証明が必要

書類に記入する人

月に1度ハローワークに出向くときに職業訓練受講給付金支給申請書を提出し、給付金の支給申請をしますが、その申請書の裏面にある求職者支援訓練等受講証明に、何日訓練に参加したかを施設長から証明を受ける必要があります。また、事前審査時の収入や資産の状況が変わったときには、毎月提出するこの職業訓練受講給付金支給申請書で報告しなければなりません。

受給者は世帯内に1人のみなどの受給制限がある

ガッツポーズをする男性

求職者支援訓練は、同一世帯では同時に1人しか受講することはできません。また、以前受講経験がある場合、前回の受講初日から6年を経過していなければ、再度の受講は認められません。

求職者支援制度の訓練給付金をもらいながら賢くスキルアップしよう

今回は、求職者支援制度での求職者支援訓練と、訓練を受けることにより受給することができる職業訓練受講給付金についてご紹介しました。受給資格を満たす方は訓練コースを調べてみることをおすすめします。

なお、ハローワークのもう一つの教育制度として、企業で働きながらでも研修を受け、研修修了後に給付金がもらえる「教育訓練給付制度」もあります。自分の状況に合わせて、給付金を受けながら賢くスキルアップしていきましょう。

大山 敏和
大山 敏和

CFP(R)認定者/社会保険労務士/年金アドバイザー
アクシス社会保険労務士事務所代表

2014年8月CFP(R)認定、ファイナンシャルプランナーとしてお客様個人の資産状況分析、および資産形成・運用ノウハウのアドバイスならびにご提案を長期ライフプランとして提示。将来、老齢年金受給世代になったときに豊かに暮らせるライフプランの構築をターゲットに現役世代から見据えるライフストラテジーの確立を応援している。

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