国民健康保険を滞納すると差し押さえされる?時効はあるの?

国民健康保険を滞納すると差し押さえされる?時効はあるの?

国民健康保険を滞納したら

国民健康保険を滞納したときは差し押さえされる?時効は存在するの?

国民健康保険料の負担は、意外に大きいものです。納められているうちは問題ありませんが、もし保険料の支払いが滞ってしまったらどうなるのでしょうか。住宅ローンやカードローンと同じように、督促や差し押さえ、もしくは時効になることはあるのでしょうか。国民健康保険を滞納した場合に、どのような手順で督促されるのか、どういった不利益があるのかなど、実際に起こってみないと分からないことも多いでしょう。

そこで今回は、国民健康保険料を滞納した場合に起こる、差し押さえや督促状などについてご紹介します。

国民健康保険料を滞納するとどうなる?差し押さえされるってホント?

国民健康保険料を滞納すると、どのような手続きが取られるのでしょうか。そして、実生活にはどういった不利益があるのでしょうか。

ここでは、滞納開始から順を追ってご紹介します。なお、実際の運用は各自治体によって様々です。ここでご紹介するのはあくまでも一例として認識してください。

督促状が届く

督促状が届く

国民健康保険料の各回納期を過ぎても納付がない場合、役所から保険料納付の督促状が自宅に送られてきます。滞納開始から約2~3週間で最初の督促状が届くことが一般的ですが、特に決まりがあるわけではありません。

督促状には滞納金額と支払期限が記載されていますが、この期限を過ぎると理論上は差し押さえ可能です。しかし、実際のところ支払期限が過ぎたからといって、直ちに差し押さえられるというケースは少ないでしょう。

督促状による督促は数回行われ、差し押さえ予告状が来ると、いよいよ差し押さえに向けたカウントダウンが始まったと判断できます。

短期被保険者証への切り替え

短期被保険者証への切り替え

滞納期間が半年を超えると、通常の国民健康保険証の返納を求められ、代わりに「短期被保険者証」が発行されます。短期被保険者証は、通常の国民健康保険証と同じ効力を持っているため、病院に行ったときも自己負担は3割負担です。そういった意味では、何の不都合もないと思われるかもしれません。

しかし、通常の国民健康保険証と違うのは、有効期限が1~6カ月と短い点でしょう。

短期被保険者証の有効期限が切れれば、当然効力もなくなってしまいますので、医療機関でも全額自己負担しなければなりません。

それを避けるためには、有効期限が切れるたびに役所窓口まで足を運び、保険証の更新手続きを行います。そしてこのとき、滞納状況の確認と口頭での督促を都度受けなければなりません。

短期被保険者証への切り替えは時間と手間もかかりますし、それが長期に及べば精神的にも負担になるでしょう。

資格証明書への切り替え

資格証明書への切り替え

滞納が1年を超えると、短期被保険者証の発行もストップし、代わりに「資格証明書」が交付されます。資格証明書で保険診療を受ける場合、医療費はいったん全額自己負担しなければなりません。そして後日、役所の窓口に払い戻し申請をすることで、自己負担すべき3割分を除いた残りの金額が返還されます。しかし、この時点では当然滞納金が発生していますので、還付金の全額もしくは一部が相殺されて、保険料支払いに充てられる可能性があります

10割負担ということは3割負担の診療を受け、本来なら3,000円で済んでいる場合であっても、10割の10,000円を負担します。保険料を滞納している状態で、医療費を全額自己負担するというのはなかなか厳しい状況でしょう。こうなると病院に行きにくくなり、適切な医療が受けられなくなる可能性もあります。また、医療費の滞納で病院からも督促をされるかもしれません

保険給付の停止

保険給付の停止

滞納が1年6カ月を超えると、保険給付そのものが停止され、医療費は全額自己負担になります。1カ月内の医療費が一定額以上にならないようにする制度(高額療養費制度)の適用もなくなりますので、いくら医療費がかかろうとすべて自分で負担しなければなりません。

健康だから大丈夫と思う方もいるかもしれませんが、不測かつ突発的な事故などに巻き込まれた場合、精神的・肉体的にも、そして金銭的にも破綻してしまうリスクがあります。

差し押さえ

差し押さえ

必ずしも差し押さえが最後だとは限りません(もっと早い段階で差し押さえされる可能性もあります)。ただ、督促状や役所からの連絡を無視していたり、滞納が1年を超えていたりすると、いよいよ差し押さえされる可能性が高くなってきます

給与所得者であれば給与を、土地建物を持っていれば所有の不動産を、賃料などを得ていればその賃料債権を差し押さえられる恐れがあります。また、銀行に預金があれば銀行口座の差し押さえも考えられるでしょう。

現預金や給与などの金銭債権であれば、収入が一時的にストップして生活がままならなくなるリスクがありますし、自宅を差し押さえられると住む場所がなくなってしまいますので、さらに問題は大きくなります。

加えて、差し押さえの事実が個人信用情報に記録されると、カードローンの借り入れやクレジットカードの発行ができなくなるなどの影響も及ぼします。金銭的に苦しい状況からさらに追い込まれ、ますます泥沼にはまってしまうでしょう。

なお、滞納が長く続いている場合でも、役所と相談の上、少しずつでも保険料を納めている場合は差し押さえが行われないこともあります。運用するのはあくまでも現場の人ですので、真摯に向き合うことが大切です。

自己破産して逃げられる?

自己破産して逃げられる?

どうしても保険料が払えない場合、自己破産を含む債務整理で切り抜けることは可能なのでしょうか。滞納が続いている人の中には、「最終的に自己破産するから大丈夫!」なんて思っている人もいるかもしれません。

しかし残念ながら、自己破産で免責されない債務というものが存在します。それは、「非免責債権」と呼ばれるものです。非免責債権の中には、不法行為の損害賠償請求権や、労働者を雇用していた場合の賃金、養育費などと並んで、罰金や租税公課も含まれています。

租税公課を具体的にいうと、所得税、住民税、固定資産税、自動車税、国民年金保険料、国民健康保険料、介護保険料など、国や地方自治体が徴収する税金です。

つまり、自己破産しても国民健康保険料から逃れることはできません

国民健康保険料の支払いには時効はあるの?

国民健康保険料の支払いの時効

債務整理でも免れ得ない国民健康保険料。では、国民健康保険料の支払いには時効があるのでしょうか。

「国民健康保険料」と「国民健康保険税」

国民健康保険の取り扱いは自治体によって違うことは先にも触れましたが、それは運用の違いだけでなく、根拠としている法令の違いにも現れています。

自治体が「地方税法」に基づいて運用している場合、正しくは「国民健康保険税」という名称になります。

一方、地方税法ではなく「国民健康保険法」に基づく場合、「国民健康保険料」となります(国民健康保険料の徴収権は「国税徴収法」に基づいて運用されます)。

この両者は、実体としてほぼ同じ扱いになるのですが、保険料(保険税も含む、以下同じ)の徴収権に関してのみ、国民健康保険税の方が保険者(市町村)にとって有利なのです。具体的には、次のような違いがあります。

  • 国民健康保険料…時効:2年、遡及賦課:2年
  • 国民健康保険税…時効:5年、遡及賦課:3年

時効というのは、滞納分の保険料の徴収権が消える、すなわち消滅時効にかかる期間を表しています。国民健康保険料であれば時効が2年なので、その間逃げ切ることができれば、理論上は時効になるかもしれません。

しかし、保険料の滞納が開始されたときから時効成立まで、役所からの督促状や連絡が1度もなかった場合に限られます。要するに時効を成立させるのは、現実的には不可能と考えて良いでしょう。

一方、国民健康保険税は時効にかかる期間が5年と長く、自治体にとって有利なのがお分かりいただけるでしょう。

なお、遡及賦課(そきゅうふか)というのは、遡って(さかのぼって)保険料を徴収する権利が何年あるかということを指します。というのも、国民健康保険は手続きした時点から保険料がかかるのではなく、国民健康保険に加入する資格を得たときから保険料がかかる仕組みだからです。

資格を得てから2カ月後に手続きしたとしても、2カ月分遡って保険料を徴収されます。この遡れる期間も、保険料と保険税で取り扱いが変わります。

上記の理由から、自治体の多くは国民健康保険税を選択しているケースが多いようです。気になる方は、ご自身のお住まいの自治体がどちらを選択しているのかお調べください。

時効で逃げ切ることは可能?

さて、いずれの場合も理論的には時効はあります。しかし、現実問題としては時効を完成させることは限りなく不可能に近いでしょう。というのも、時効には「中断」という考え方があるからです。

国民健康保険料(税)のケースでは、自治体からの督促も時効の中断事由となります。2年間、ないし5年間1度も督促がないということはまず考えられません。また、「債務の承認」という行為も時効の中断事由です。「承認」の具体例としては「1円でも保険料を納めること」といえば分かりやすいでしょう。

滞納のフローチャートでみたように、短期被保険者証や資格証明書への切り替え時、少額でもいいから滞納している保険料を払ってほしいといわれるでしょう(それが短期被保険者証や資格証明書の発行条件となっていることもあります)。他にも、資格証明書を持って診療を受け、立て替え払いした医療費を後日還付されるときに、滞納保険料と相殺されたとしたら「納付=承認」となって時効はゼロに逆戻りします。

以上のことから、保険診療を必要としない健康体で、滞納開始から1度も滞納保険料を納めることもなく、役所からの督促も行われなかった場合にのみ、時効が完成するということです。

また、時効を待つ間というのは精神的にも負担が大きいでしょう。いつ督促が来るのかとビクビクしながら生活するのは、気持ちの良いものではありません。よって、現実逃避することなく、きちんと保険料は納付することをおすすめします。

国民健康保険料を滞納すると延滞金はかかる?

債務整理でも時効でも逃げ切れそうにない国民健康保険料。では、国民健康保険料に延滞金はかかるのでしょうか。

結論からいうと、延滞金がかかります。延滞金の料率は2段階に分かれており、延滞開始(納付期日の翌日)から1カ月間と、1カ月経過日以降で区分されています。延滞金の料率は年度や自治体によっても違いますが、一例を挙げるなら京都市の場合は初めの1カ月間は2.6%、1カ月経過後は8.9%(平成30年度)となっています。

他の自治体でも近い数字にはなっていますので、目安として約9%(1カ月経過後)と考えておけば良いでしょう。年率9%ということは、10万円で9,000円、20万円で18,000円の延滞金が1年間で発生する計算になります。少しずつでも納付して、元本を減らしていけば延滞金も減りますが、それでも滞納が解消するまでは発生し続けてしまうでしょう。

少し話は変わりますが、住宅ローンなどでも金利が高いときは「借り換え」をして金利負担を減らすという手法があります。住宅ローンの場合は、ローンにかかる手数料や登記費用などと安くなる金利負担を天秤にかけて判断しなければなりません。

これを国民健康保険料の延滞金に置き換えて考えるとどうなるでしょう。年率9%未満(お住まいの自治体の延滞率未満)のカードローン商品があれば、そちらで資金調達する方が負担も減るのではないでしょうか。カードローンは初期費用もかかりませんし、担保も保証人も必要ありません。また、国民健康保険料の滞納が解消された後も、生活費や自営業の運転資金として利用することも可能です。

延滞金に悩まされている方は、こういった方法もぜひご検討ください。

国民健康保険料の滞納の可能性があるならお近くの役所へ相談を

今回は、国民健康保険料を滞納した場合に起こることについてご紹介しました。

国民健康保険制度は、被保険者(加入者)の保険料負担で成り立っています。それゆえ、保険料の滞納に関してはかなり厳しい運用がなされているというのが実態です。保険料負担からは、債務整理でも自己破産でも逃れることはできませんし、延滞金もかかってしまいます。

そのため、滞納が起こる前に減免や猶予、分割などの救済措置を求めるのも大事ですし、滞納後は役所と相談して、滞納解消に向けて努力しなければなりません。

逃げ回っていても状況は悪化するばかりですので、決して問題を放置せず、役所と密に連絡を取り合うようにしましょう。

田中 裕晃
田中 裕晃

CFP®・1級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/マンション管理士/ 住宅ローンアドバイザー/賃貸不動産経営管理士 他
日本FP協会主催「くらしとお金のFP相談室」で平成29年度相談員担当

大手賃貸仲介業者に就職し、新人賞獲得。店長職を経験後、売買仲介業者として独立。不動産業を営む傍ら、ファイナンシャルプランナーとしても活動中。

住宅の取得やそれに付随するライフプランニングの設計、資産の組み換え、不動産投資、相続対策などに関しての相談業務を行っている。

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