任意整理ができない原因は?応じない会社への対処法はあるの?

任意整理ができない原因は?応じない会社への対処法はあるの?

任意整理ができない原因

任意整理ができない原因とその場合の対処法とは

昨今では気軽にお金を借りられるようになりました。しかし、気軽に借りられるがゆえに、返済のお金を用意できないケースも少なくありません。「借金を返済するためのお金がなければ、別の場所でまたお金を借りて返済すればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、これを積み重ねてしまうと、どんどん借金も利息も増えていって返済ができなくなり、どうすることもできない状況に陥ってしまう可能性が非常に高いです。

もしその状況に陥ってしまった場合には、生活の再建を助けてくれる手続きの任意整理を行いましょう。債務整理の1つである任意整理は、今までの借金を返済できる程度の額に減額して、利息も免除できる可能性のある手続きです。しかし、誰でも利用できるわけではありません。

そこで今回は、任意整理ができない場合、なぜできないのか、どのような場合にできないのか、任意整理の他にはどのような手段があるのかについてご紹介します。

任意整理ができない場合とは

任意整理は債権者に対して条件変更を強制する手続きではなく、あくまでも各債権者に任意で交渉に応じてもらう手続きです。従って、申請すれば確実に任意整理ができるというものではありません。

では、任意整理ができない場合はどのような場合なのでしょうか。

債権者によって異なる対応

債権者によって異なる対応

任意整理の手続きをとった際の債権者の対応は各社一律ではありません。

任意整理では、最終的に合意に達するまでの期間に発生する経過利息や返済を延滞した際の遅延利息などの交渉が各社で異なるためです。

経過利息、遅延利息、将来利息のうちでどの利息を免除してもらえるのか、分割払いができるようになるのかどうかなど、債権者によって対応が異なります(※1)。

分割払いでも良いという債権者もいれば、厳格に一括払いを求めてくる債権者もいますし、こうすればこうなるといった方程式は存在しないのです。

(※1)例えば、奨学金を貸している日本学生支援機構の場合は、任意整理に応じないか厳しい条件での和解にしか応じないといわれています。

今まできちんと返済していない

未納

任意整理は、借金の理由は問われず借金の返済交渉が可能です。

しかし、借りてからすぐの任意整理や、延滞を繰り返すなど、お金を借りた側としての返済に対する姿勢が良くない場合は、任意整理に応じてもらえないことがあります。

返済できる見込みがない

返済できる見込みがない

任意整理は、利息のカットや債務の分割払いの交渉となります。従って借金自体がなくなることはありません。

借金が残るということは、任意整理の和解後は決められた期間での残金返済が必要です。

しかし、借金の返済には「返済に足る収入」「分割払いが可能な収入」など「一定の収入」が必要になります。

返済の見込みは、借金残額の36カ月分割払いです。

36万円であれば毎月1万円。72万円であれば毎月2万円という計算になります。

180万円であれば毎月5万円ですから、金額が減っても返済が厳しいという方もいらっしゃるでしょう。

そのため、借金を返す収入、あてのない方は、そもそも任意整理を実施しても返済が滞ってしまうだろうと推測され、交渉が成立しない可能性が高いです。 収入がないような場合は、任意整理ではない方法を利用しないと問題は解決されないでしょう。

任意整理に応じない場合の対処法

任意整理に応じてもらえなかったとしても諦める必要はありません。債務整理には任意整理以外にもいくつかの方法があるのです。

債権者が任意整理に応じない場合は、他の債務整理を選択しましょう。

他の債務整理を選んだ方が結果的にメリットを得られることもあります。

個人再生

個人再生は任意整理と異なり、裁判所を通じて強制的に借金を減額させます。

任意整理に応じてくれない場合や、任意整理をしたが返済が厳しく生活に困窮するような場合は、任意整理に代わる選択肢となるでしょう。

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2つの手法があります。

小規模個人再生は、自営業者や零細企業の経営者を想定した借金の整理方法で、給与所得者等再生は、会社員を対象にした借金の整理方法です。

小規模個人再生の場合、債権者の同意が必要です。そのため、債権者の意向で借金の減額が小さかったり、減額自体がなかったりということもあり得ます。

一方、給与所得者等再生の場合は債権者の同意は必要ありません。

個人再生の手続きができるのは以下の条件の方です。

  • 借金の総額が5,000万円未満であること
  • 借金を返済することが困難であること
  • 将来にわたり安定した収入のあること

自己破産

任意整理ができない場合は選択肢が限られてしまうため、自己破産をするしかないケースもあるでしょう。

自己破産は、裁判所を通じて行う、他の債務整理にはないすべての借金を免除できるという特徴を持っている、借金をなくす最終手段ともいうべき手続きです。

しかし、すべての借金を免除できるというメリットを持ちながら、一方で自己破産だけはしたくないと考える方もいます。

なぜならば、自己破産をすると、国が発行している官報という新聞に破産者として記載され、自己破産をしたことが周囲にバレる可能性がある、世間体が気になったり、クレジットカードやローンが組めなくなったり、特定の仕事に就けなくなる、持ち家(資産)を失ってしまうなどのデメリットも存在するためです。

自己破産は、メリット・デメリットをしっかりと考慮した上で行いましょう。

自己破産の方法は2つあります。

1つは破産管財人がつく方法です。

資産も借金もあるような場合に自己破産をするには、裁判所が選定した破産管財人に資産の処分を任せなければなりません。

裁判所が選定した破産管財人は、資産の調査を行い、資産があれば換金して各債権者に分配し、手続きを終わらせます。

もう1つは同時廃止という手続きが伴う、破産管財人のつかない自己破産です。

自己破産の多くは資産がほとんどない状態で自己破産の手続きをしています。

破産管財人に関する費用は、申し立てを行った人物が負担しなければならないため、資産がないのに財産管財人がついてしまうと、破産管財人が行った調査に発生する報酬を支払えません。

その対策として、所持する資産が20万円に満たない場合は、自己破産の開始決定と同時に手続きを終了させる同時廃止という手続きを行います。

これによって速やかな自己破産が実現できるのです。

ただし、債務者の借金の原因がギャンブルであったり、多くの借入先の中で一部の債権者だけに優先的に返済していたりしていた場合は、自己破産を行っても借金の免除が認められない可能性があります。

特定調停

特定調停は、私的ではなく公的機関を通じての債務整理です。

債権者との借金について私的な交渉する任意整理とは異なり、裁判所の仲立ちによって債権者と話し合いの場が設けられ、返済計画を立て直すことで経済的な再生を図る手続きを行います。

申し立てが受理されると、裁判所で、調停委員という借金問題の専門家と裁判官による調停委員会が、申し立てを行った人物と債権者の間をとりもって交渉を行います。そのため、債務者は裁判所に赴かなければなりません。また、特定調停の申し立てを行う際には、財産の明細、債務の明細などの資料の他、職業や収入などの申告が必要です。

裁判所では、調停委員に対して借金を返せなくなった事情を説明し、現在の収入と支出、生活状況や今後の返済についてヒアリングされます。

その後、債権者を交えて借金額を確定し、返済方法を調整します。債権者との交渉は調停委員が行いますので、債務者と債権者が直接交渉することはありません。

今後の返済方法について債権者と債務者の合意がまとまれば、調停成立(※2)となりますが、合意できない場合は調停が成立せずに手続きが終了します。

特定調停は、裁判所に提出する書類の準備が必要ですが、自分で申し立てることができて費用が安いというメリットがあり、申し立てから調停の結果がでるまでに2カ月ほどと、他の債務整理よりも比較的短期間で手続きを終えられます。

また、特定調停の場合、申し立てを行っても官報に名前が掲載されることはありません。

自己破産や個人再生のように、手続きの事実が官報に掲載されることで、不特定多数の人に債務整理の事実を知られることがないのも特徴です。

さらに、特定調停の申し立てを裁判所に提出し、それが受理されれば、債権者にそれが通知され返済の督促が止まります。さまざまな会社から借金をしている場合は、債権者からの連絡が止まるため一息つくことができるでしょう。

ただし、メリットもさまざまな特定調停には注意点もあります。

特定調停は、裁判所まで行かないと手続きができません。そのため、平日の昼間に仕事を休んで裁判所へ行けるのかを考える必要があります。 また、信用情報には特定調停を行ったという履歴が残るため、今後新しくお金を借りたり、クレジットカードを作ったりすることは数年間難しくなるでしょう。

(※2)特定調停成立後に返済が滞った場合、債権者によって財産の差し押さえをされることがあります。

特定調停を行う場合は、返済が確実な範囲での返済計画を立てましょう。

弁護士・司法書士に断られる場合もある?

債務整理を業務として取り扱っていない

断られる

債務整理に関わる専門家としては弁護士が筆頭にあがります。しかし、弁護士であれば誰でも仕事を受けてくれるわけではありません。

弁護士の業務は多岐にわたるため、対象が法人なのか個人なのかでも請け負う仕事が変化するのです。

例えば、法人相手の弁護士は毎月一定の顧問報酬をもとに企業に対して会社を守るための法務サービスを提供しており、個人相手の弁護士であれば、離婚専門、相続・成年後見専門、交通事故専門など債務整理以外にも専門分野が存在しています。

専門とあるように専門性がウリのため、何でもやりますという弁護士は少数。ホームページ上では何でもできるように記載があっても、実務上は特定の分野に精通している方が多いのが実情です。そのため、得意な特定業務のみを請け負おうとする弁護士が多いでしょう。

他にも、刑事事件の弁護が好きな弁護士や人権活動が好きな弁護士などもいますので、すべての弁護士が債務整理の相談と手続きができるわけではないことを覚えておいてください。

司法書士も弁護士と同様です。

債務整理に力を入れている司法書士事務所もありますが、司法書士の主な業務は法人の商業登記と不動産の登記のため、依頼を請け負ってくれない場合があります。

そのため、依頼するのであれば債務整理に力を入れている司法書士事務所を探してください。

また、司法書士の場合は借入金額が140万円を超えている債務整理は受任できませんので、借金額が多い場合は債務整理を請け負ってくれる弁護士に依頼しなければなりません。

借り入れが多い

借り入れが多い

任意整理を行う場合の返済額は、返済可能額の3年分が目安です。

月3万円の返済であれば、年間36万円、3年で108万円。返済額が数百万円となるような借金の場合は、任意整理を行ったとしても返済ができないため、任意整理以外の債務整理である自己破産などを薦められます。

債務整理を断られるのではなく、任意整理ができないため断られるということです。

依頼者の収入が低い

依頼者の収入が低い

任意整理に必要なことは、借金が減った後に返済を継続することです。そのため、収入が低い依頼者の場合は「任意整理に向いていない」と判断されて依頼を断られることがあります。

また、任意整理に伴う弁護士などへの報酬が払えない場合にも依頼を請け負ってもらえない可能性が高いです。

報酬を払えないのに仕事を依頼するということは、タダ働きを強いることになります。それでは当然断られてしまうでしょう。

依頼人が信用ならない

依頼人が信用ならない

弁護士などの法律の専門家に限る話ではありませんが、人として信頼できない依頼者からの依頼は引き受けてもらえない可能性があります。

例えば、自分に都合の良い情報しか伝えず、借金を隠したり、財産を隠したり、収入を隠したりと、正直に自分の情報を開示しない依頼者では任意整理が円滑に進まない可能性があるためです。

そのようなことが発覚した場合は、たとえ請け負ってもらえたとしても手続きをしてもらえない可能性があります。

他にも任意整理の手続き中にもかかわらず、他から借金をするような依頼者では任意整理の交渉はうまくいきません。そのようなことが発覚した場合も、手続きはしてもらえないでしょう。

弁護士など法律の専門家に依頼する前提として、債権者や依頼する弁護士に対して正直で誠実であることが、最低限の礼儀として必要です。

これらを解決することで、任意整理が可能となります。

任意整理は各債権者によって対応が異なる

今回は、任意整理ができない原因についてご紹介しました。

任意整理は、債権者の方針や、過去の返済履歴、任意整理を実施しても返済の見込みがない場合には手続きを受け付けてもらえないでしょう。ただし、任意整理ができない場合でも、諦める必要はありません。任意整理に代わる他の債務整理として、個人再生(小規模個人再生、給与所得者等再生)、個人でできる特定調停、最終手段としての自己破産(財産管財人、同時廃止)があります。

また、任意整理をはじめとした債務整理を専門家に依頼したくても、債務整理をそもそもやっていない場合や借金が多すぎて任意整理では返せない場合には、弁護士や司法書士など法律の専門家に断られることもあります。任意整理を行う際には、今回ご紹介したことに注意しつつ手続きを進めましょう。

高橋 成寿
高橋 成寿

ファイナンシャルプランナー
寿FPコンサルティング株式会社 代表取締役

慶應大学卒業後、金融関係の経験を積んでファイナンシャルプランナーとして独立。2007年の開業以来、1,000世帯を超える家計相談に従事。知っておいて損は無いこと、知らないと損すること、世の中にある色々なお金の情報発信を心がけている。

© カードローンQ All Rights Reserved.