世界ブランドとしての意地か

当のドイツは

不正が発覚したことで、恐らく市場でもVWの自動車なんてもう使用しないと動き始める人も多いのではないだろうか。輸入車の中でも一番売れていると言っても過言ではなかった自動車ブランドも、そのイメージがたった1つの過ちで全てが崩壊してしまったのだから、笑えない。それこそ現在進行形でVWの自動車が愛車となっている人はどうすれば良いかと考えているはず、中にはまだ購入したばかりなのにと嘆く声もあるかもしれません。自動車の購入は決して安いとは言えないので、こんな問題が出てきた時点である意味終末が近づいていると判断できるかもしれません。

そんな中でドイツではどんな対応をして、許可を出して販売していたのでしょう。実際ドイツの運輸省でも正式なコメントとして発表された言葉は、

『不正をしているなど知らなかった』

というものだった。

国が正式に出す声明として、これほど信用性に欠けるお粗末な言い訳はないでしょう。もしこんな理由が通るならその国のシステムそのものに問題があるとしか言いようが無い。ただ内情を良く紐解いてみると、事前に排ガスが基準よりも濃く、有害物質を試験時で確認されたものより採取されていることも独立団体によって調べは付いている。また政府にも問題そのものを把握していたのはだいぶ前からで、さらには不正装置を使用していたことを知らされていたのではないかと考える動きも出てきている。

なんにせよ、ドイツそのものが不正を見逃して販売していた事実に変わりはない。国そのものの信用問題にも発展する可能性もあるため、これから先本当にどうなるのかと不安が不安を呼びそうだ。

なぜ不正を働いたのか

ではここでどうしてVWのような大手企業が不正を働かなければならなかったのか、という点について考えてみたい。これまでの情報を考査して見えてくる点といえば、何と言っても世界的なブランドイメージが強いことでしょう。VWを愛用している人、例えば日本人でも利用する理由について訪ねてみると、

  • 理由その1:自動車価格が非常にリーズナブル
  • 理由その2:自動車のデザインがクラシックでオシャレなものが多い

といった点から好んで愛用していると応える人が多いという。性能ありきもあるでしょうが、普段使いをする自動車であっても、やはり極端なくらいにデザインが自分好みではない物を利用するよりかは、自分がここぞとばかりに思ったものを購入したいと感じるのはごく自然なことです。トヨタでもなく、ホンダでもなく、スズキでもない、VWが良いと答える人もこれまで多かったでしょう。

そんな動きを敏感に感じ取っていた投資家たちにすれば、投資しておくことで自分たちにも色々と有利になると考えて動くはずだ。自動車は別にVWではなく、ベンツを使用している人もいるかもしれません。投資している現実と、実際に使用している自動車とが異なっているなど、よくあることではないでしょうか。よほど株主を支配したいといった動きを見せない限り、基本投資をしてくれれば企業としてもそれで問題無いでしょう。

輸入車の中でも一番売れる自動車メーカーは箔がつく、それは大きな価値となり、大きく他社を引き離す好材料となる。築き上げたイメージを崩したくない、VWの意地が不正へと走らせたのかもしれません。

せっかくの新モデルも

ちなみに、この騒動が発覚してしまったがためにVWは2015年9月に発売したばかりの新モデル『PHEV』をまともに宣伝できずにいる状況だ。これがどれくらい痛手なのかは言うまでもありません、自動車をそろそろ買い換えようかと考えていた人へ向けたものとするなら、VWの新車も間違いなく目を通すはず。そしてこの新モデルで日本の自動車メーカーが創りだした牙城を切り崩す切り札になるはずだったとまで言われるくらい、期待が寄せられていたモデルだった。

それが不正事実により全てオシャカとなり、さらには新モデル以外のVW車には『不正を働いた自動車』というイメージが先行してしまっている。もはやどうにもならない状況にある、新モデルを発売して得られるはずだった利益も、本来よりも格段に下がるはず。そして開発に当てた費用をまともに回収することも出来ず、結果として赤字になる可能性も十分出てきてしまったわけだ。ブランドイメージを守ろうとしたがための動きは、ただただ後からとんでもない醜態を晒すだけでしかなかった。これを滑稽と言わず何というか、意識が高く、日本でもっと売れる自動車イメージを作ろうとした矢先にこれだ。どんな戦略を立てていたかは知らないが、その見通しも本格的に自分たちの身の上を立て直すことに注力しなければならなくなる。

だが一度働いた不正が消えることはなく、長年世界各地で愛されていたVWのイメージは地べたへと真っ逆さまだ。この先どんなことになるか、せめて無様な姿だけは見せてもらいたくはないものだ。